股関節痛は、「足の付け根が痛い」「歩くと股関節が痛む」「あぐらがかけない」「靴下を履くときに股関節が痛い」「立ち上がりで鼠径部が痛い」「階段を上ると股関節がつらい」「お尻の奥が痛い」など、さまざまな形で自覚されます。
股関節という名称から、痛みの原因は股関節そのものにあると考えられやすいものの、実際には腰椎、骨盤、仙腸関節、臀部筋、腸腰筋、大腿筋膜張筋、内転筋群、ハムストリング、大腿部、膝関節、足関節など、複数の部位との関連を考える必要があります。
また、股関節痛には変形性股関節症、関節唇損傷、股関節周囲の腱障害、滑液包周辺の疼痛、大腿骨頸部などの骨性疾患、外傷、腰椎由来の関連痛、神経症状など多くの病態が存在します。
したがって、「股関節痛=骨盤の歪み」「股関節痛=筋肉が硬い」「股関節痛=軟骨がすり減っている」と一つの要因だけで説明することは適切ではありません。
特に変形性股関節症では、股関節の軟骨だけではなく、骨、滑膜、関節包、周囲筋などを含む関節全体と周囲組織が関係します。WHOも変形性関節症を関節全体に影響する慢性疾患として位置づけ、股関節は膝、手と並ぶ代表的な好発部位の一つとしています。(who.int)
本記事では、股関節痛の解剖学的メカニズム、物理的・生理学的要因、腰痛との関連、骨盤矯正・骨格矯正の考え方、整形外科と整骨院・鍼灸院の役割、当院の根本改善治療について、専門的な視点から整理します。
- 1.股関節痛とは?専門的な概要
- 2.股関節痛が発生するメカニズム
- 3.大転子部痛症候群(GTPS)と股関節外側の痛み
- 4.変形性股関節症と股関節痛
- 5.股関節痛の原因を多角的に分類
- 6.物理的要因|骨盤・骨格・姿勢・筋肉
- 7.腰痛と股関節痛の関連
- 8.生理学的要因|血流・神経・疼痛感覚
- 9.病院・整形外科と整骨院・鍼灸院の役割の違い
- 10.当院における股関節痛への根本改善治療
- 11.骨盤矯正・骨格矯正をどのように考えるか
- 12.整体施術・筋膜リリースによる股関節周囲へのアプローチ
- 13.運動療法と筋力・運動制御の重要性
- 14.股関節痛と運動に関する最新の知見
- 15.鍼灸・円皮鍼によるアプローチ
- 16.EMS治療と股関節の根本改善
- 17.股関節痛と姿勢改善
- 18.股関節痛の段階別分類
- 19.股関節痛で医療機関を優先すべきケース
- 20.高槻市・茨木市で股関節痛を相談する方へ
- 21.当院の股関節痛に対する施術プロセス
- 22.当院が考える「根本改善」とは何か
- 23.よくある質問(FAQ)
- 24.まとめ|股関節痛は「股関節だけ」を見ないことが重要
1.股関節痛とは?専門的な概要
股関節の解剖学
股関節は、骨盤側の「寛骨臼」と大腿骨側の「大腿骨頭」によって構成される球関節です。
骨性構造だけではなく、
- 関節軟骨
- 関節唇
- 関節包
- 滑膜
- 靭帯
- 腱
- 筋肉
- 筋膜
- 神経
- 血管
など、多数の組織が股関節の安定性と運動に関与します。
股関節は、
- 屈曲
- 伸展
- 外転
- 内転
- 外旋
- 内旋
という多方向の運動を可能にします。
歩行、立ち上がり、階段昇降、しゃがみ動作、走行、方向転換など、日常動作の多くで股関節は重要な役割を担っています。
股関節痛の代表的な部位
股関節痛は必ずしも「股関節の真上」に感じるとは限りません。
代表的には、
| 痛みの場所 | 考慮する主な要因 |
|---|---|
| 鼠径部・足の付け根 | 股関節内の病態、変形性股関節症など |
| 股関節外側 | 大転子部痛、殿筋腱障害など |
| 臀部 | 股関節周囲筋、仙腸関節、腰椎など |
| 大腿部 | 股関節、腰椎、筋・腱など |
| 膝周辺 | 股関節由来の関連痛が含まれる場合 |
| 腰から臀部・脚 | 腰椎・神経由来の可能性 |
このため「膝が痛いから膝だけ」「お尻が痛いからお尻だけ」という評価では不十分なケースがあります。
2.股関節痛が発生するメカニズム
関節由来の疼痛
変形性股関節症などでは、関節内の組織変化に伴って疼痛やこわばり、可動域制限が生じることがあります。
代表的には、
- 鼠径部痛
- 歩行時痛
- 立ち上がり時痛
- 階段昇降時痛
- 股関節可動域低下
- 足の爪切りや靴下の着脱困難
- 長距離歩行困難
などです。
AAOSの変形性股関節症ガイドラインでも、股関節OAは痛みやこわばりを生じ、靴を履く、椅子から立つ、歩くといった日常生活動作を制限することが説明されています。(aaos.org)
股関節周囲筋・腱由来の疼痛
股関節周囲には、
- 大殿筋
- 中殿筋
- 小殿筋
- 梨状筋
- 腸腰筋
- 大腿直筋
- 大腿筋膜張筋
- 内転筋群
- ハムストリング
など、多くの筋・腱があります。
筋力不足だけでなく、過使用、反復動作、急激な運動量増加、ランニング、片脚荷重、姿勢・動作の癖などによって股関節周辺の組織に負担が集中する場合があります。
3.大転子部痛症候群(GTPS)と股関節外側の痛み
股関節の外側に痛みを感じる場合には、大転子部痛症候群(Greater Trochanteric Pain Syndrome:GTPS)を考える必要があります。
GTPSは、以前「大転子滑液包炎」と説明されることが多かった病態ですが、現在では中殿筋・小殿筋などの殿筋腱障害を含む複合的な病態として扱われています。
代表的な症状には、
- 股関節外側の痛み
- 横向きに寝たときの痛み
- 階段昇降時痛
- 歩行時痛
- 片脚立位での痛み
- 長時間座位後の痛み
などがあります。
2024年の系統的レビュー・メタ解析では、GTPSに対する運動療法は、対照群と比較して長期的な股関節痛や疾患重症度を軽度に改善し、身体機能や全体的な改善感にも良好な結果が示されています。研究数は6件、計733人でした。(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
さらに2025年に公表されたネットワークメタ解析では、19件のRCT、1701人を対象とし、GTPSに対する運動療法が疼痛軽減や機能改善に有効であることが示されています。(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
このことからも、股関節外側の痛みに対しては、単に患部を揉むだけではなく、臀筋機能や股関節の運動制御を評価することが重要です。
4.変形性股関節症と股関節痛
股関節痛を検索する際に多く関連する疾患が「変形性股関節症」です。
変形性股関節症では、関節軟骨の変化、骨硬化、骨棘形成などを伴い、痛み、こわばり、可動域制限、歩行能力低下などにつながることがあります。WHOによれば、変形性関節症では痛み、腫れ、こわばり、動きにくさが代表的な症状です。(who.int)
ただし、画像上の変形と痛みの程度は必ずしも完全に一致するわけではありません。
そのため、
「レントゲンで変形があるから絶対に痛い」
「軟骨が減っているから何をしても痛い」
といった単純な判断は適切ではありません。
一方で、進行した変形性股関節症では日常生活への影響が大きくなることもあるため、症状と身体機能、医療画像などを総合して評価する必要があります。
AAOSは2024年更新の股関節OAガイドラインで、非手術治療について複数の推奨を示し、軽度から中等度の症候性股関節OAでは理学療法を検討できるとしています。また、症候性股関節OAに対する経口NSAIDsや、短期的な疼痛・機能改善を目的とした関節内ステロイド注射についても推奨・検討事項を示しています。(aaos.org)
5.股関節痛の原因を多角的に分類
股関節痛を評価する際には、以下のように分類すると原因を整理しやすくなります。
| 原因 | 代表的な要素 | 典型的な関連症状 |
|---|---|---|
| 関節内 | 変形性股関節症、関節唇など | 鼠径部痛、可動域制限 |
| 筋・腱 | 中殿筋、腸腰筋、内転筋など | 運動時痛、局所圧痛 |
| 外側組織 | GTPSなど | 外側痛、側臥位痛 |
| 骨 | 骨折、疲労骨折など | 荷重時痛、強い疼痛 |
| 腰椎 | 神経根・関連痛 | 腰痛、しびれ、下肢症状 |
| 骨盤 | 骨盤帯・仙腸関節周囲 | 臀部痛、動作痛 |
| 神経 | 神経障害 | しびれ、感覚異常 |
| 外傷 | 打撲、捻挫、スポーツ障害 | 急性疼痛、腫脹 |
| 全身性疾患 | 炎症性疾患など | 複数関節症状、全身症状 |
この中には整骨院・鍼灸院で身体機能への施術を検討できる状態だけでなく、整形外科などでの画像診断や医学的治療が必要な状態も含まれます。
6.物理的要因|骨盤・骨格・姿勢・筋肉
骨盤と股関節の連動
股関節は骨盤と一体となって動きます。
股関節を屈曲するときには骨盤や腰椎の位置・運動も関係し、立位や歩行では骨盤と下肢の荷重伝達が重要になります。
そのため、
骨盤
↓
股関節
↓
膝
↓
足関節
↓
足部
という下肢運動連鎖を考える必要があります。
骨盤の前傾・後傾
骨盤前傾や後傾そのものが「悪い姿勢」というわけではありません。
骨盤の傾きは、
- 股関節角度
- 腰椎の位置
- 大腿骨の位置
- 体幹の重心
- 筋活動
などと関連します。
問題になるのは、特定の姿勢を長時間維持したり、身体が必要とする動作に対して関節運動の選択肢が少なくなったりする場合です。
したがって当院では、単純に「骨盤が歪んでいるから股関節痛」と判断するのではなく、股関節と骨盤、腰椎、下肢がどのように連動しているのかを確認します。
7.腰痛と股関節痛の関連
股関節痛と腰痛は同時に発生することがあります。
腰椎と股関節は近接した運動器であり、歩行や立ち上がり、しゃがみ動作など多くの動作で協調して働きます。
例えば股関節伸展が十分に行えない場合、歩行中の身体運動を別の関節や体幹運動で補う必要が生じる場合があります。
反対に腰椎の可動性や疼痛によって股関節への負荷が変化する場合もあります。
AAOSの2023年股関節OAガイドラインでは、股関節だけではなく「hip-spine relationship」が重要な論点として追加されています。(aaos.org)
つまり、
股関節痛があるから股関節だけを見る
のではなく、
腰椎・骨盤・股関節を一つの運動連鎖として評価する
ことが重要です。
8.生理学的要因|血流・神経・疼痛感覚
股関節痛が長期間続く場合、「血流が悪い」「神経が圧迫されている」などの説明がされることがあります。
しかし、これらも一つの原因に固定することはできません。
神経系
腰椎由来の神経症状では、
- 臀部から脚への放散痛
- しびれ
- 感覚異常
- 筋力低下
などが出現することがあります。
この場合には股関節だけに施術を行うのではなく、腰椎・神経系の評価が必要になります。
血流
筋肉の収縮や運動によって局所循環が変化することはありますが、「股関節痛=血流不足」と断定することはできません。
血管疾患や炎症、感染症、骨性病変などが疑われる場合には医療機関での評価が優先されます。
9.病院・整形外科と整骨院・鍼灸院の役割の違い
股関節痛では、整骨院・鍼灸院の施術だけで判断すべきではない状態があります。
特に初めて発症した強い股関節痛、外傷後の強い痛み、荷重できない状態、発熱を伴う関節痛などでは、医療機関での評価が必要です。
医療機関で行う評価
整形外科などでは、症状と身体診察に加えて必要に応じて、
- X線検査
- MRI
- CT
- 超音波
- 血液検査
- 神経学的評価
などを用いて原因を調べます。
変形性股関節症ではX線が重要な評価手段になり、病態に応じて薬物療法、注射、理学療法、手術などが検討されます。
AAOSは股関節OAについて、経口NSAIDs、関節内ステロイド注射、理学療法などについてエビデンスに基づく推奨を示しています。(aaos.org)
整骨院・鍼灸院で考える領域
一方、医療機関で重大な疾患が除外され、運動器機能への介入が適している場合には、
- 姿勢
- 関節可動域
- 筋緊張
- 筋力
- 動作
- 骨盤・股関節の連動
- 歩行
- 体幹機能
などを確認することができます。
| 項目 | 医療機関・整形外科 | 整骨院・鍼灸院 |
|---|---|---|
| 疾患の診断 | ○ | 診断は行わない |
| X線・MRIなど | ○ | 原則として医療機関 |
| 血液検査 | ○ | ― |
| 薬物療法 | ○ | ― |
| 手術適応評価 | ○ | ― |
| 姿勢・動作評価 | ○ | ○ |
| 関節可動性評価 | ○ | ○ |
| 筋緊張・筋機能評価 | ○ | ○ |
| 手技療法 | 施設による | ○ |
| 鍼灸 | 施設による | ○ |
| EMS | 施設・目的による | 補助的に使用する場合あり |
| 運動・セルフケア指導 | ○ | ○ |
したがって、「病院は症状を抑えるだけ、整骨院は根本治療」と単純化するのではなく、それぞれの専門領域を理解することが重要です。
10.当院における股関節痛への根本改善治療
茨木市あゆみ鍼灸整骨院では、12年以上の臨床経験と柔道整復師・鍼灸師の国家資格を基盤として、股関節痛を「痛い場所だけ」の問題として捉えません。
10-1.問診・動作確認
まず、
- いつから痛むのか
- どの動作で痛むのか
- 歩行で痛いのか
- 階段で痛いのか
- 座位で痛いのか
- 立ち上がりで痛いのか
- あぐらで痛いのか
- 腰痛を伴うのか
- 膝痛を伴うのか
- スポーツ活動があるのか
- 転倒・外傷があるのか
などを確認します。
10-2.股関節可動域
股関節では、
- 屈曲
- 伸展
- 外転
- 内転
- 内旋
- 外旋
などの可動性を確認します。
特定方向だけ可動域が低下している場合、動作時の代償運動が発生している可能性があります。
ただし、強い痛みを我慢して可動域を広げることが目的ではありません。
11.骨盤矯正・骨格矯正をどのように考えるか
当院では、無理な姿勢矯正を強要しません。
産後や日常生活での股関節痛に対して「骨盤が歪んでいるから痛い」と単純に説明するのではなく、骨盤と股関節、腰椎、膝、足部の動作関係を確認します。
骨盤矯正
骨盤矯正では、
- 骨盤周囲の可動性
- 股関節との連動
- 体幹との連動
- 左右の荷重
- 歩行
- 立ち上がり
- 片脚支持
などを総合的に評価します。
骨格矯正
当院の骨格矯正は、骨を永久的に「正しい場所へ移動させる」という意味ではありません。
骨盤・脊柱・股関節などの位置関係、関節可動性、筋緊張、動作パターンなどを確認し、身体が動きやすい状態を目指すためのアプローチです。
「良い姿勢を常に維持する」ことではなく、「必要なときに姿勢を変えられる身体」を目指すことが重要です。
12.整体施術・筋膜リリースによる股関節周囲へのアプローチ
股関節周囲には多数の筋肉が存在するため、筋・筋膜への手技を選択肢として考えることがあります。
対象として、
- 大殿筋
- 中殿筋
- 小殿筋
- 梨状筋
- 腸腰筋
- 大腿筋膜張筋
- 大腿四頭筋
- ハムストリング
- 内転筋
などを確認します。
筋膜リリース
筋膜リリースでは、軟部組織への刺激によって、組織の滑走性、筋緊張、身体感覚、動作のしやすさなどを確認します。
ただし、「筋膜の癒着を取れば股関節痛が治る」という単純な説明は適切ではありません。
手技は、
可動性の確認
↓
筋・軟部組織へのアプローチ
↓
動作確認
↓
必要な運動の追加
という流れの中で、一つの手段として位置づけます。
13.運動療法と筋力・運動制御の重要性
股関節痛の改善では、施術だけでなく身体を適切に動かす能力も重要です。
特に、
- 中殿筋
- 大殿筋
- 腸腰筋
- 内転筋
- ハムストリング
- 体幹筋
などの筋力や協調性は、股関節の動作に関連します。
中殿筋
中殿筋は片脚立位や歩行時の骨盤制御に関係します。
筋力や運動制御が低下すると、片脚支持で骨盤や大腿部の運動が変化する場合があります。
大殿筋
大殿筋は股関節伸展などに関与します。
歩行、階段、立ち上がりなどの動作で重要になります。
腸腰筋
腸腰筋は股関節屈曲に関与します。
長時間の座位によって股関節屈曲位が続く生活では、股関節伸展を含む動作とのバランスを確認することが重要です。
ただし、「腸腰筋が硬いから股関節痛」と単純に断定するものではありません。
14.股関節痛と運動に関する最新の知見
股関節OAに対する運動は、国際的なガイドラインでも重要な治療要素として扱われています。
NICEでは、変形性関節症に対する治療として、治療的運動を基本的な管理手段として位置づけ、必要に応じて手技療法を運動療法と併用することを推奨しています。股関節・膝関節OAへの手技療法単独については、十分な根拠がないため、運動療法と組み合わせるよう説明することが推奨されています。(nice.org.uk)
2025年の系統的レビュー・メタ解析では、股関節OAに対する運動について検討されたものの、研究数が少なく、疼痛や生活の質などに関するエビデンスの確実性は低いとされています。つまり「運動なら何でも同じ」ということではなく、適切な運動内容や負荷量を個別化することが重要です。(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
また、2024年のメタ解析では、股関節・膝関節OAを対象とした16件のRCT、3015人について、自宅で行う運動療法が疼痛、関節機能、バランス、日常生活動作などに有益な結果を示しています。(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
したがって当院でも、手技や骨格矯正だけで完結させず、状態に合わせて運動・セルフケアを組み合わせることを重視します。
15.鍼灸・円皮鍼によるアプローチ
股関節痛に対して鍼灸を用いる場合にも、痛みの原因疾患そのものを鍼だけで治すという考え方ではなく、疼痛管理や筋緊張などに対する補助的なアプローチとして考える必要があります。
当院では、鍼灸アプローチを検討する場合、
- 筋緊張
- 痛みの部位
- 動作時の反応
- 全身状態
- 刺激への感受性
などを確認します。
円皮鍼
強い刺激が苦手な方には、比較的刺激の少ない円皮鍼を優先的に提案しています。
円皮鍼は小さな鍼具を皮膚に貼付し、持続的な刺激を与える方法です。
当院では、筋・軟部組織への刺激、コンディショニング、血流に関連する自覚症状などを考慮し、身体状態に合わせて使用を検討します。
ただし、円皮鍼を含めて、すべての方に「完全に痛みがない」と保証するものではありません。皮膚の感覚や貼付部位などによって刺激の感じ方には個人差があります。
16.EMS治療と股関節の根本改善
EMS治療は、電気刺激によって筋収縮を誘発する方法です。
股関節痛への活用を考える際も、「EMSを使えば股関節痛が治る」という考え方ではありません。
EMSは、
- 筋活動の補助
- 体幹筋への刺激
- 臀部筋群への補助
- 運動療法のサポート
などを目的として使用する場合があります。
特に、
手技
+骨格矯正
+運動
+EMS
という複合的なアプローチを考えることで、施術だけに依存しない身体機能改善を目指します。
ただし、EMSは実際の歩行、スクワット、階段昇降、片脚支持などの運動を完全に置き換えるものではありません。
17.股関節痛と姿勢改善
姿勢改善を考える際には、「背筋を伸ばす」「骨盤を立てる」だけでは不十分です。
重要なのは、
静的姿勢
+動的姿勢
+関節可動性
+筋力
+運動制御
です。
例えば、
座位
長時間の座位では股関節屈曲位が続きます。
立位
片脚に体重をかけ続ける癖があれば、左右の股関節への荷重が変化します。
歩行
股関節伸展、骨盤回旋、膝関節、足関節などが連動します。
階段
股関節伸展筋群や膝伸展筋群、足部の安定性などが必要です。
このため、股関節痛の姿勢改善では、日常生活の具体的な動作まで含めて評価する必要があります。
18.股関節痛の段階別分類
軽度
- 長時間歩くと痛む
- 階段だけ痛む
- 特定動作だけ痛い
- 運動後に軽い痛みがある
この段階では、動作・姿勢・筋機能を確認し、負荷の調整を検討します。
中等度
- 歩行距離が短くなった
- 階段がつらい
- 立ち上がりで痛い
- 股関節可動域が低下した
- 靴下を履きにくい
- あぐらがつらい
この段階では、原因の評価と身体機能への介入を組み合わせることが重要です。
高度
- 安静時にも痛い
- 夜間痛が強い
- 長距離歩行が困難
- 明らかな可動域制限がある
- 荷重できない
- 日常生活への影響が大きい
このような場合には、整形外科など医療機関での画像評価や医学的診断が重要になります。
19.股関節痛で医療機関を優先すべきケース
以下の場合は、整骨院・鍼灸院での施術よりも医療機関での評価を優先します。
- 転倒・交通事故・スポーツ外傷後の強い痛み
- 急激に発生した強い股関節痛
- 体重をかけられない
- 著しい腫れ
- 発赤・熱感
- 発熱を伴う
- 夜間も強く痛む
- 原因不明の体重減少を伴う
- 強いしびれ
- 筋力低下
- 排尿・排便障害
- 痛みが進行している
特に外傷後に荷重できない状態では骨折などを除外する必要があります。
また、発熱を伴う急性の関節痛では感染性関節炎など緊急性のある疾患を考える必要があるため、自己判断で施術を続けるべきではありません。
20.高槻市・茨木市で股関節痛を相談する方へ
高槻市・茨木市周辺では、通勤、車移動、デスクワーク、立ち仕事、子育て、介護、スポーツなど、股関節へ継続的に負荷がかかる生活背景があります。
特に、
- 長時間のデスクワーク
- 車の運転
- 電車通勤
- 長時間の立ち仕事
- ウォーキング
- ランニング
- ゴルフ
- スポーツ活動
- 子どもの抱っこ
- 床からの立ち上がり
- 階段昇降
などは股関節を繰り返し使用する動作です。
また、仕事と家事、育児などを同時に行う場合、十分な運動・休息時間を確保しにくく、腰痛や臀部痛、膝痛などが股関節痛と同時に発生するケースもあります。
茨木市あゆみ鍼灸整骨院では、茨木市を中心に、高槻市など近隣地域から股関節、骨盤、腰痛、膝、姿勢、歩行などの身体機能について相談される場合にも、患部だけでなく身体全体の運動連鎖を確認します。
21.当院の股関節痛に対する施術プロセス
STEP1|問診
痛みの場所、発生時期、誘発動作、既往歴、スポーツ歴、仕事、日常生活などを確認します。
STEP2|姿勢・動作評価
立位、歩行、片脚支持、しゃがみ、立ち上がりなどを確認します。
STEP3|関節可動性の確認
股関節だけではなく、
- 腰椎
- 骨盤
- 膝
- 足関節
まで確認します。
STEP4|筋機能評価
- 臀筋
- 腸腰筋
- 内転筋
- ハムストリング
- 体幹筋
などを確認します。
STEP5|施術
必要に応じて、
- 骨格矯正
- 骨盤矯正
- 整体施術
- 筋膜リリース
- 手技療法
- 鍼灸
- 円皮鍼
- EMS治療
などを組み合わせます。
STEP6|運動・生活動作
施術後の状態を確認し、必要に応じて、
- 股関節運動
- 臀筋トレーニング
- 体幹トレーニング
- 歩行
- 姿勢指導
- 日常動作指導
などを行います。
22.当院が考える「根本改善」とは何か
当院でいう根本改善は、「一回の施術で痛みを消す」という意味ではありません。
また、「骨盤を正しい位置に戻せば、すべての股関節痛が改善する」という考えでもありません。
根本改善とは、
痛みの場所
↓
身体の動作
↓
関節可動性
↓
筋機能
↓
姿勢・荷重
↓
生活習慣
↓
運動習慣
という複数の要素を確認し、痛みを繰り返しやすい要因を減らしていく考え方です。
例えば股関節痛と腰痛が同時に存在する場合、腰部だけを施術して終わるのではなく、
腰椎
+骨盤
+股関節
+臀部
+体幹
+下肢
を総合的に確認します。
無理な姿勢矯正を強要せず、骨格矯正をベースにした根本アプローチによって、身体の動作をより効率的に行える状態を目指します。
23.よくある質問(FAQ)
Q1.股関節痛は骨盤の歪みが原因ですか?
股関節痛をすべて骨盤の歪みだけで説明することはできません。
変形性股関節症、股関節周囲の腱障害、大転子部痛症候群、外傷、腰椎由来の痛み、神経症状などさまざまな原因があります。
一方、骨盤と股関節は運動連鎖上密接に関連するため、身体機能を確認する場合には骨盤・腰椎・股関節をまとめて評価することが重要です。
Q2.股関節痛には骨盤矯正と骨格矯正のどちらがよいですか?
症状によって異なります。
当院では骨盤矯正だけを独立させるのではなく、骨盤、腰椎、股関節、膝、足関節、筋肉、姿勢、歩行などを総合的に確認します。
骨格矯正は骨を永久に移動させる目的ではなく、関節の動きや身体の使い方を考えるための施術として位置づけています。
Q3.股関節痛がある場合、運動しても大丈夫ですか?
原因と症状の程度によって異なります。
一般的な変形性股関節症では治療的運動が重要な管理手段とされており、運動による筋力・機能改善が期待されます。一方、急性外傷、骨折の可能性、強い炎症、著しい疼痛などがある場合には、先に医療機関で状態を確認する必要があります。NICEも変形性関節症に対して治療的運動を基本的な管理手段として推奨しています。(nice.org.uk)
Q4.股関節痛に鍼灸は有効ですか?
鍼灸を股関節痛への補助的アプローチとして検討することはできますが、股関節痛の原因となる変形性股関節症、骨折、感染症、神経疾患などを鍼灸だけで診断・治療できるわけではありません。
当院では状態に応じて筋緊張や疼痛などへの補助的アプローチとして鍼灸を検討し、強い刺激が苦手な方には比較的刺激の少ない円皮鍼を優先的な選択肢として提案します。
Q5.股関節痛で整形外科と整骨院のどちらに行けばよいですか?
外傷後の強い痛み、荷重困難、発熱、急激な悪化、著しい可動域制限、しびれ・筋力低下などがある場合は、整形外科などの医療機関を優先します。
一方、重大な疾患が除外され、慢性的な腰痛、股関節周囲の筋緊張、姿勢、歩行、関節可動性、筋力などの運動器機能を改善したい場合には、整骨院・鍼灸院で身体機能へのアプローチを検討する選択肢があります。
24.まとめ|股関節痛は「股関節だけ」を見ないことが重要
股関節痛は、変形性股関節症、股関節周囲の筋・腱障害、大転子部痛症候群、外傷、腰椎由来の関連痛、神経症状など、多数の原因によって発生します。
そのため、
股関節痛=骨盤の歪み
股関節痛=筋肉の硬さ
股関節痛=軟骨のすり減り
と単純化することはできません。
変形性股関節症では、股関節全体の組織変化と疼痛、可動性、身体機能を総合して評価する必要があり、WHOやAAOSなども運動やリハビリテーションを含む多面的な管理を重視しています。(who.int) (aaos.org)
大転子部痛症候群についても、近年の系統的レビューでは運動療法が疼痛や身体機能の改善に有用であることが報告されています。(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
つまり股関節痛の改善では、
原因の確認
+股関節可動性
+骨盤・腰椎機能
+筋力
+筋・筋膜
+姿勢
+歩行
+運動
+日常動作
を総合的に評価することが重要です。
茨木市あゆみ鍼灸整骨院では、12年以上の臨床経験と柔道整復師・鍼灸師の国家資格を基盤に、股関節痛を局所だけの問題として捉えず、骨盤・腰椎・股関節・膝・足関節まで含めて身体機能を評価します。
無理な姿勢矯正を強要せず、骨格矯正をベースにした根本アプローチを行い、身体が動かしやすい状態を目指します。
手技療法、整体施術、筋膜リリース、骨盤矯正、骨格矯正に加え、状態に応じて鍼灸、円皮鍼、EMS治療、運動指導などを組み合わせます。
強い刺激が苦手な方には、比較的刺激の少ない円皮鍼を優先的な選択肢として提案し、身体状態に合わせた鍼灸アプローチを検討します。
また、股関節痛に腰痛が併存している場合には、「腰痛の改善」と「股関節の改善」を別々に考えるのではなく、腰椎・骨盤・股関節を含む運動連鎖として評価します。
高槻市・茨木市周辺で、歩行、階段、立ち上がり、座位、スポーツ、育児などの日常動作に股関節痛が影響している場合には、痛みの部位だけではなく、身体全体の動作と機能を確認することが重要です。
ただし、外傷後の強い痛み、荷重不能、発熱、急激な症状悪化、強いしびれや筋力低下などがある場合は、施術を優先せず整形外科などの医療機関で原因を確認することが重要です。
股関節痛に対する「根本改善」とは、一度の施術で痛みだけを消すことではありません。
痛みを引き起こしている可能性がある身体機能、動作、筋力、関節可動性、姿勢、生活習慣を一つずつ確認し、必要な施術と運動を組み合わせながら、痛みにくく動きやすい身体づくりを継続していくことが重要です。

